興奮の十五巻

一押しです

待ちに待った「鋼の錬金術師」15巻!!!


これは凄かった・・・・
なにが凄いって、一冊丸々使ってイシュヴァールの真実を解き明かしてしまったからだ!!


しかも中身は少年誌に掲載されていたとは思えないほど戦争描写がリアルで、
人々が狂気に走っていくのが手に取るように伝わってきた。
特に愚直な指揮官を殺すシーン。
僕もあの様な状況を想像したことはあるし、実際にそういうこともあったのだろう。
しかし、その直後のヒューズ達の何事も無かったかのような表情には、
戦争は人の心を変えるということの恐怖を感じた。




物語的にはこれまで名前だけは登場していたキンブリー、グラン中将、ロックベル夫妻、スカーの兄、
・・・などの人物達もついに物語に登場!!
キンブリーはもっとクレイジーな残酷キャラだと予想してたけど、
自分なりの信念やクールな一面も持ち合わせていて、
一筋縄ではいかない感じがして、今後の主人公達との絡みが見てみたいキャラになった。


そしてロックベル夫妻、かっこよすぎだあ。
敵兵の為に無料で診療所を開く彼ら。
「偽善者」と罵られても、
「偽善で結構。やらない善よりやる偽善だ」
と躊躇無く言いのけた彼の台詞にはひたすら感動した。



さらには「背中」をキーワードに語られたロイとホークアイの「絆」、
同じ医者でありながらロックベル夫妻と真逆の仕事(人体実験)を行わされている自分に葛藤するノックス、
一方的な惨殺に涙する「優しき人」アームストロング少佐、
(この描写は以前にも描かれていたけど、自身も作戦に加担している描写が描かれたことでより悲壮感が伝わった)
・・・などなど、泣き所が多すぎですが、
個人的には下級兵達の、
「あんたは俺たちにとってのイシュヴァールの英雄だ」
という台詞にはやられた!!
ロイが英雄と呼ばれたのは「多くの敵を殺したから」ではなくて、
(もちろん後にはその意味も加味されたとは思うけど)
「自分達のような名も無い多くの兵隊の命を守ってくれたから」という理由だったのですね。
ロイ、かっこいいよ、ロイ。


とにかく台詞の一つ一つが重く、心に響くし、
伏線もしっかり回収しながらまた新たな伏線も見せ、
最後はキッチリと少年漫画的カタルシスで締めてくれた進行の手際の良さ、
改めて荒川弘先生のストーリーテラーの手腕に感服する場仮です。



このイシュヴァールのエピソードで、
鋼の錬金術師」は漫画史における新たな地位を切り開いたのではないかと思う。




それにしてもあれだけアクの強い主人公がわずか数コマしか出てなくても、
物語が単行本一冊分成り立ってるって、凄い漫画ですよね。






あ、明日は都合がついたので外語祭に行けそうです♪