終わりの始まりの幕を上げよう

9巻

惜しみないほどの愛情を注いでる2作品なので、
ハチミツとクローバーMOTHER3は同じなんだ!!」
と僕が声高らかに主張しても説得力がないのかもしれないけれど。





前作から12年というブランクを経て、
その間、一度は発売中止に見舞われながらも、
それでも信じて待ち続けた数多くのファンを、
一気に奈落の底へと突き落とすような残酷な物語で幕を開けた「MOHTER3」という作品。




そして、今日発売された「ハチミツとクローバー」9巻。
これまで築き上げてきたものをブチ壊すような衝撃の出来事が待ち構えていた。
きっと多くの人が戸惑っただろうし、
僕自身、思わず手が止まってしまった。
早く先を読みたい。
だけどページをめくることが出来ない。
こんな経験は初めてだ。





羽海野チカ先生は、登場人物それぞれの一生のおおまかな流れを作ってあると言う。
ということは、この出来事は最初から決められていたのだろう。
最初からこうなることを考えて、ずっとこの物語を書いていたのだろう。





理不尽で絶望的な出来事が我が身に降り掛かることなんて、誰にでもありうる。
「だからせめて、映画や漫画の中くらいはハッピーエンドに」
そういう人達の気持ちも解るけれども、
挫折があるからこそ、そこから立ち上がる過程を経ることで人は成長する。
そこから逃げては何も残らない。
だからこそ、それを描く為に、物語の作者は時に残酷にならないといけない時があるのだ。
(一時の野島伸司みたいに、不幸ばかり押し出して興味を引くやり方は好きじゃないけれど)





しかし、ハチクロが見事だったのは、ちゃんともう一つの持ち味である「ギャグ」を手放さなかった事。
だって、あのショッキングなchapterの冒頭は、
「マック☆カルロス(疑惑の頭頂部) vs 真山」という濃ゆ〜いシーンで始まるのだから!!
普通だったら、全編をシリアスな雰囲気にして然るべきなのに、
笑わせることも忘れてないんですよ、ハチクロは。
そして、MOTHER3にも全く同じことが言えるのです。



2作品とも奇跡のようなバランスで、物語は進むのです。
おかしいことだらけで、いっぱいいっぱい笑ってるのに、
振り返ると、とてもシリアスで切ない話だなあと気付くのです。



ハチミツとクローバーはまだ結末を知らないけれども、
見守る気持ちで、楽しみにしたいと思います。




書きたい事が多すぎるので、また明日も書きます。